研究課題/領域番号 |
23700753
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研究機関 | びわこ成蹊スポーツ大学 |
研究代表者 |
吉田 政幸 びわこ成蹊スポーツ大学, スポーツ科学部, 講師 (60557445)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | スポーツイベント / スポーツ観戦 / イノベーション / サービスイノベーション / スポーツマーケティング / スポーツ消費者 |
研究概要 |
本研究1年目はプロ野球観戦者を対象としてアンケート調査を実施し,確認的因子分析によってイベントの革新性の構成概念妥当性を確認するとともに,イベントの革新性がマーケティング目標に対して持つ規定力を分析した.調査対象として,日本プロ野球機構に所属するプロ野球団によって興行されるプロ野球イベントを選択し,千葉ロッテマリーンズの協力を得て,来場者を対象にアンケート調査を実施した.調査項目については,人口動態的特性(年齢,性別など),社会経済的特性(収入,学歴など),心理的特性(顧客満足,ブランド価値,イベントの革新性など),行動的特性(応援チーム,応援年数,観戦回数など)に関する尺度を先行研究より援用した.調査は2011年9月4日に開催された千葉ロッテマリーンズのホームゲームで実施された.調査対象者を試合の来場者(母集団約3万人)とし, 360票のアンケート用紙を配布し,355票を回収した(回収率98.6%).調査では,事前指導を十分に受けた20名の調査員が試合開始2時間前から試合開始後1時間までの間に,球場外周およびコンコースエリアで調査票を配布しその場で回収した.収集したデータは, IBM SPSS Statisticsによって基礎集計を実施するとともに,尺度の信頼性を検討した.続いて,LISREL8.8を用いて確認的因子分析を行い,構成概念の収束的妥当性および弁別的妥当性を分析した.構成概念妥当性が確認されたため,イベントの革新性がマーケティング目標に対して持つ規定力を検証するため,変数間の関係性を仮説に基づいてテストした.これらの結果は「千葉ロッテマリーンズスタジアム観戦者調査2011」と題した報告書(68ページ)にまとめられ,研究結果の社会還元のため,調査に協力したプロ野球団にフィードバックされた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1年目となった平成23年度は,計画通りにプロ野球イベントの来場者を対象に調査を実施し,仮説モデルの検証に必要なデータを入手した.因子分析に最低限必要とされるサンプルサイズ(n = 200)を満たし,今後は研究結果の論文化および学会発表を進めていく予定である.1年目は,データ収集後、直ちに確認的因子分析によってイベントの革新性の構成概念妥当性を確認するとともに,イベントの革新性がマーケティング目標に対して持つ規定力までを分析し,データ収集に協力したプロ野球チームへのフィードバックを完了した.次は,イベントの革新性によって顧客満足度および球団のブランド評価が高まる消費者層とそうでない層を特定するため、セグメントマーケティングの観点から調整変数を検討することが課題である.
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今後の研究の推進方策 |
本研究2年目は,Deighton(1992)のパフォーマンス類型を基に,更に他のコンテクスト(マラソンイベントおよびゴルフイベント)の消費者からデータを収集し,確認的因子分析と構造方程式を用いて,仮説を検証するとともに,概念的モデルおよび理論的モデルの外的妥当性(汎用性)についても検討する.プロ野球観戦者を対象とした1年目の調査項目と同様に,それぞれのイベントにおける調査対象者(マラソン参加者およびゴルフ参加者)の人口動態的特性,社会経済的特性,心理的特性,および行動的特性を測定するための質問項目を含む質問紙を用いる.調査対象者として,マラソンイベントおよびゴルフイベントの消費者を選択し,それぞれ500票の調査票を配布し,450票を回収する(うち有効回答数は400票を目標とする).調査時期に関しては,それぞれのイベントの開催時期に合わせ,マラソンイベントを秋から春にかけて,ゴルフイベントは春から秋にかけて実施する.調査方法については,事前指導を十分に受けた20名の調査員が,それぞれのイベント参加者を対象に,便宜的抽出法を用いてデータを収集する.マラソンイベントではレース終了後に休憩している参加者から質問紙にその場で回答してもらう.ゴルフイベント参加者については,昼食で休憩を取っている際に質問紙を配布し,その場で回答してもらう.分析では,IBM SPSS Statisticsによって調査対象者の基本属性および尺度の信頼性を検討する.次に,LISREL8.8を用いて確認的因子分析を行い,構成概念の収束的妥当性および弁別的妥当性を,それぞれのサンプルごとに分析する.続いて,理論モデルの適合度と要因間の関係性を個別産業領域間で分析するため,LISREL8.8を用いて構造方程式による分析を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度(平成24年度)の研究費は,当初申請した通り,アンケート調査における備品(ボールペン,コピー用紙など),旅費,調査員への謝金に主に充てられる.併せて,1年目の研究結果の成果報告として,アメリカにおける学会発表の参加費および出張旅費に支出する.
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