研究課題/領域番号 |
23700818
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
菊地 裕絵 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 心身医学研究部, 室長 (10581788)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ストレスマネジメント / EMA / 肥満 |
研究概要 |
本研究は、日常生活下での自覚症状などの記録方法であるecological momentary assessmentと、同じく日常生活下で記録・評価の可能な携帯情報端末を用いた食事記録評価システムを中心に用いて、肥満成人の食行動関連要因についてこれまでには把握が困難であった生態学的妥当性の高いデータを用いて明らかにすることを目指すものである。 今年度は、予備調査データの解析、研究プロトコルの確定、倫理委員会申請、調査使用機器などの研究実施環境の整備を実施した。健常若年者における予備調査データの解析の結果、外食や抑うつ気分と摂取エネルギー量の関連にはBMIによる交互作用があり、BMIが高いほど、摂取エネルギー量は環境要因や気分の影響を受けやすいことが示唆された。また、マルチレベルパス解析により、外食と摂取エネルギー量の関連は気分を介するものではない可能性が示された。これらの結果は健常群での結果としての意義をもつだけでなく、今後肥満成人の調査で同様に解析を行い検討していく必要を示唆する重要な結果であった。そのほか、予備調査で用いた食欲に関する質問項目について、冗長性が懸念されたことから、マルチレベル因子分析を行い因子構造を明らかにし項目数を厳選することを検討した。これらの解析に基づき、被験者の負担を軽減しながら必要十分な情報が得られるように調査プロトコルの詳細を決定し、倫理委員会申請を行い承認をうけた。さらに、調査に使用する携帯情報端末や呼気ガス分析装置、自律神経機能検査装置などを整備して、設定プログラムや検査手順の確定、解析方法の検討と解析プログラムの準備など、調査を円滑に進めるための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査を実施するに当たり、日常生活下調査における被験者の負担を考えた慎重な調査プロトコルの検討が必要であると考えられたため、予備調査データの解析をまず行うこととした。これらの予備調査データの解析において、肥満成人への外挿の検討が必要と思われる意義深い結果が得られたことと、予備調査データの解析や検査装置の整備により調査準備が整ったこと等から、上半期に産前産後休暇および育児休業にて研究が一時中断されたことを考え合わせ、おおむね順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は被験者募集を開始し、肥満成人及び対照群での調査を実施し解析を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度、呼気ガス分析装置が当初の予定より安価で同等の機能のものが入手できたことと、今年度に実施予定であった調査を次年度以降に実施に変更したことにより、次年度に使用する予定の研究費が生じた。したがって、次年度以降は、当初今年度に謝金など調査にかかる費用として計上していたものを次年度に使用することと、追加で実施を行うことを予定している自律神経機能検査の解析に用いるソフトウェアの準備などに使用し、そのほかは当初の予定通り、通信費・印刷費・英文校正費・旅費などに使用し、本研究の目的がより充実して達成されるように努める予定である。
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