研究概要 |
健康な日本人女性を対象として,エストロゲン合成に関連する遺伝子多型が動脈硬化指数および身体活動による動脈硬化改善効果の個人差への関与について検討した。エストロゲン合成に係るaromataseに関連する遺伝子(CYP19A1)の多型のうち,rs4646多型およびrs1062033多型に関しては,HDLコレステロール濃度と明らかに関連していた。rs10046多型に関しては,ヘモグロビンA1cと明らかな関連性が認められた。さらに,rs4646多型は頸動脈β-stiffnessや上腕足首間脈波伝播速度(brachial-ankle pulse wave velocity; baPWV)といった動脈硬化指数と明らかに関連していた。これらの関連性に有酸素性作業能力の高低は影響しなかった。以上より,日本人女性において,エストロゲン合成に関連する遺伝子多型(aromataseに関連する遺伝子多型)は,有酸素性作業能力の高低とは無関係に,動脈硬化指数およびHDLコレステロールやヘモグロビンA1cレベルといった冠危険因子に影響することが示唆された。
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