研究課題/領域番号 |
23700994
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
岸 磨貴子 京都外国語大学, 国際言語平和研究所, 嘱託研究員 (80581686)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / アメリカ ハワイ / 韓国 釜山 / 国際研究者交流 |
研究概要 |
本研究の目的は,情報通信技術(Information and Communication Technology 以下ICT)を活用した日本語教員養成のための学習環境のデザインとその評価である. 今年度は,計画通り,京都外国語大学(京都外大)の日本語学科の学生と米国ホノルル市カピオラニ・コミュニティカレッジ(KCC)で日本語を学習する学生との間で行われる日本語教育実践を事例とし,ICTを活用した日本語教員養成のための学習環境をデザインし,実施した.京都外大の学生20名とKCCの学生20名が,9月から12月までの4ヶ月間,1対1のペアごとに日本語会話演習のための交流実践を行った.学生は活動の振り返りをSNS上に記録し,教員はそれをもとに必要に応じて支援を行った. 研究成果として,本事例を「ピアインタラクションを通して習得される日米の学生の実践的スキル」に焦点をあてて分析し,中間報告として国内外の学会で発表した.現在,連携している日本語教員(日本およびハワイ)と支援方法について分析中である. ハワイとの実践に加えて,韓国の釜山外国語大学の学生とも遠隔による日本語教育のためのワークショップを実施した.KCCとの実践については,学生主体による長期的(4ヶ月)な実践であるが,韓国との実践については,筆者らが活動目的および方法を設定し,1日だけの実践であった.前者(ハワイ)については,京都外大の学生が交流の目的,指導方法(会話の進め方や会話の内容など)を自ら計画し,実施し,振り返り,再度計画をたてて実施するというプロセスを繰り返すが,後者(韓国)については,教員が計画,実施を行った.今後,ICTを活用した異なる2つの日本語会話演習の実践を比較し,学習環境について検討する. 韓国との実践については,「フォリナー・トーク」および「学習環境デザイン」の観点から考察し,まとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は,計画通り,ICTを活用した日本語教員養成のための日本語会話演習を実践した.先行研究に基づき,ICTを活用した遠隔での協働を促す学習環境をデザインし,京都外国語大学(京都外大)の日本語学科の学生と米国ホノルル市カピオラニ・コミュニティカレッジ(KCC)で日本語を学習する学生との間で実践を行った.本実践をもとにした研究は,一部を中間報告として国内外の学会で発表した.具体的には,本実践に参加した日本人学生および米国学生の学習成果についてである.現在,実践において見られた課題を分析している.この知見をもとに来年度の実践をデザインする. また,今年度の実践には,京都外大だけではなく,実践女子大学で日本語教育を専攻する院生4名が参加した.日本語教育を研究する院生に参入してもらうことにより,日本人同士の学び合いを促すことがねらいである.日本語を教えるという「体験」を,どのように「内省」させるかについても今後の研究課題としたい. 今年度はハワイとの実践に加えて,今年度は韓国の釜山外国語大学の学生とも日本語会話演習(1日)を実施し,その知見を研究論文としてまとめることができた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,連携先のKCCの担当教員を日本に招聘し,今年度の取り組みをもとに「支援の方法」について議論し,研究知見としてまとめる予定である.本研究には,京都外大,実践女子大学,KCCの日本語教員が支援者として参加している,実践に参加した学生だけではなく,実践をした教員にインタビューを行い,日本側および米国側,学部生および院生がどのような課題に直面したかについて明らかにする・ 加えて,本研究を連携者である日本語教員の一人がタイで発表したことをきっかけに,タイの日本語教員からも本実践を行いたいという提案があったことから,対象地域を拡大して実践することを検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
【旅費】連携先(ハワイのカピオラニコミュニティカレッジ)の教員の招聘:ICTを活用した日本語教員養成のための学習環境のデザインについて議論するため,KCCの日本語教員を招聘する.【物品費】(1)遠隔交流のための機材の補充:ノートパソコン,ipadなど学生が交流のために必要な機材を補充する.(2)文献:研究に関する書籍や論文を購入する.【人件費・謝金】本実践に参加した学生数名に,来年度はファシリテータとして参加してもらうため,研究補助として人件費を支払う.
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