研究課題/領域番号 |
23720057
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
彬子女王 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 准教授 (20571889)
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キーワード | 国際情報交換 / 英国 |
研究概要 |
2012年6月、ポーランドで開催された国際シンポジウム『ヨーロッパの博物館・美術館保管の日本仏教美術コレクションと日本観の形成』において、 Reproductions of Horyū-ji Treasures – Mural Paintings and Kudara Kannnon in the British Museum –と題した研究発表を行った。ヨーロッパの日本作品を所蔵する美術館・博物館の関係者が一堂に会し、活発な議論や意見交換が行われ、ヨーロッパにおける大英博物館の日本コレクションの位置づけなどについて再認識することができた。数日間にわたるシンポジウムで、ヨーロッパの美術館・博物館関係者と私的な交流を深めることができ、在外の日本コレクションに関する多くの情報を得ることができたのは、大変有意義であった。今後は、英国以外の日本コレクションも視野に入れて研究を続けていきたい。 また、2012年12月には、東京の根津美術館において「大英博物館でうまれた日本美術史」と題した特別講演、2013年2月には英国大使館においてConstructing the History of the British Museumと題した特別講演など、1年間で計8回の招待講演を行った。英国における日本美術蒐集の歴史、大英博物館の日本コレクションについて、一般の方たちに広く知っていただき、さまざまな示唆的なご意見を頂戴することができた。今後の研究に生かしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、2012年6月に父が他界したため、3か月の服喪期間に加え、父から引き継いだ公務で多忙になったことにより、英国での調査を行うことができなかった。来年度にその分の調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
大英博物館での調査を進め、20世紀以降の日本コレクションの歴史とその内容について研究を、現地のアーカイブを利用して行っていく。さらに研究を進められるのであれば、現代における大英博物館の日本作品の蒐集方針と、日本ギャラリーにおける展示の方法、また日本をテーマにした展覧会の行い方などについても調査を進めたい。ここ数年の大英博物館での日本の展示は、現代の漫画を展示し、日本の縄文文化や仏教文化の紹介を行うなど、ほかの海外の美術館・博物館の蒐集、展示の方針とは一線を画すところがあり、その点についての検討を集中的に行えればと考えている。 大英博物館のアジア部部長ジャン・スチュワート氏、日本セクション長のティモシー・クラーク氏、日本陶磁器担当学芸員のニコル・ルーマニエール氏、縄文考古学者のサイモン・ケイナー氏などに指導を仰ぎ、多方面からの日本コレクションの分析に努める予定である。 最終的に、大英博物館における19世紀から現代にいたるまでの日本コレクションの歴史の全容を明らかにし、論文等の形で明文化できるようにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度実施できなかった、英国大英博物館での調査を3週間ほどの予定で実施する予定であり、経費の多くが英国への渡航費、滞在費等で費やされることになると思われる。 余剰分は、関連の参考書籍や消耗品等の購入に充てる予定である。
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