研究課題/領域番号 |
23720118
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
小林 ふみ子 法政大学, 文学部, 准教授 (00386335)
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キーワード | 狂歌本 / 目録 |
研究概要 |
当初予定していた大阪の個人文庫(茶梅亭文庫)については、ご家族の健康問題により訪問・目録作りそのものが困難な見通しとなっており、当面改善のめどは立ちそうにない状況である。今は茶梅亭文庫蔵本の目録はほぼ断念し、対象を江戸狂歌に絞って書目総覧を完成することをめざし、その範囲で茶梅亭文庫の蔵本データおよび文庫主のこれまでの狂歌本書誌研究の蓄積の協力を仰ぐというかたちで合意し、データの整備を進めている。 狂歌本の書誌調査の過程で得られた研究成果として、昨年の実績として報告した、従来刊年未定であった北斎画の狂歌絵本『絵本隅田川両岸一覧』の刊行時期をめぐる新知見についての成果は出版社の都合で刊行が遅れているが、本年の同様の成果として喜多川歌麿画の狂歌絵本『潮干のつと』の成立について、従来説よりも2年早い制作の開始の可能性を指摘した(狂歌絵本『潮干のつと』)。また浅草連の出版活動についての研究を進めており、従来見過ごされてきた作も含め各作品の刊年を精査して報告する予定である(7月刊の論文)。これらは一つ一つは目録化においては新たな作品の発掘、刊年の訂正などと小さな成果であるが、狂歌研究だけでなく、美術史・絵本研究上でも重視されている作品を含み、研究自体の意義は小さいものではないと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画で中心的な課題であった文庫が事情により調査できないという事態が発生しているのは上記の通りであり、研究計画自体をかなやむをえずり縮小して進行している。 縮小した計画を遂行できるよう残り2年で努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
現在進めている江戸狂歌(天明狂歌)の書誌データの整備を進行する。今年度中に一定程度(目標を文化年間までとする)一定の見通しを立て、データの不足している部分を明らかにする。 書誌データの整備の見通しが立ったところで、書誌データの確認作業に着手する。関東近郊の所蔵機関および、遠隔地でも大規模なコレクションを所有するところ一カ所程度集中して調査し、確認作業に充てることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
随時、新出の作品を中心に狂歌本の購入に充てる。 また遠隔地の狂歌本大型コレクションの集中的な調査を予定するため、一定程度を旅費に充当する。
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