本研究は、複数の言語文化背景を持ちながら成長してきた子どもたちに対する日本語教育を周囲との関係性作りの視点から構想することを目的とし、2年間の調査研究活動を通して、次の3点について明らかにすることを目的とした。 1.複数言語環境で育つ子どもたち(若者)は、周囲とどのような関係性を築きながら言語学習をしているのか(してきたのか)、2.複数言語環境で育つ子どもたちおよび若者に対する日本語教育実践は関係性作りの視点からどのようにデザインできるか、3.関係性作りの視点からデザインされた日本語教育実践の中でどのような学びが育まれるのか 平成24年度は、以下の4点について調査研究活動を行った。 1.複数言語環境で育った子どもたち(若者)の関係性作りのプロセスおよび日本語学習のプロセスを把握するため、前年度に引き続き、国内および海外在住の外国籍児童生徒、帰国生、国際結婚家庭の子どもおよびその親、留学生・大学生らにインタビューを行った。2.関係性づくりに焦点を当てた日本語教育実践のデザイン:留学生向けの日本語授業において、関係性に焦点を当てた授業をデザインし、実施した。また、複数言語環境で育つ子どもたちおよび若者に向けた「関係性作りに焦点を当てた日本語支援プログラム」の構築に向けた検討を行った。3.授業における日本語学習プロセスの分析、考察:2.でデザインした日本語授業を実施しながら、教育実践における学生たち日本語学習の様子を分析し、考察した。4.研究成果の公表:2年間の調査研究活動から得られた知見をまとめ、国内外の学会、地域の講座等で公表した。
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