研究課題/領域番号 |
23720309
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
瀧口 順也 龍谷大学, 国際文化学部, 講師 (10596802)
|
キーワード | 共産主義 / 20世紀史 / グローバル・ヒストリー |
研究概要 |
平成25年度も、前二年度に引き続きコミンテルン関連史料の収集を中心に進めた。 東京への出張機会には一橋大学に赴き、同大学図書館に所蔵されている日本共産党関係史料の目録一覧を閲覧し、一部の史料については収集することができた。北海道大学スラブ研究センター図書館では、前年度に引き続きコミンテルン大会史料の収集を行った。この作業により1920年代半ばまでのコミンテルン大会史料を網羅的に収集することができた。モスクワへの出張ではロシア国立図書館にて、1920年代のコミンテルン関連出版物の一部を収集した。 研究成果としては、ロシア史研究会およびソヴィエト社会史研究会へ参加したことにより、1920年代のソ連国内における公共圏という新たな問題意識を獲得することができた。この観点は、本研究課題にも大いに示唆を与えることとなった。研究成果の報告機会としては、龍谷大学アフラシア多文化社会研究センター主催のワークショップにおいて、イギリス共産党幹部の妻として1920年代にモスクワに滞在したM.マーフィーの日記を手掛かりに、新たな伝記研究の可能性と共産主義を内面化していく人物への史学史的アプローチを提示した。ソ連東欧史研究会での報告は、ソ連史・コミンテルン氏の金字塔であるE.H.カーの『ソヴィエト・ロシア史』を、アーカイヴ史料の利用拡大と歴史学のアプローチの発展を経た今日的観点から読み直すことで、その研究意義を批判的に再検討した。また、1920年代初頭の初期ソ連政権下で一時的に発展し、わずか数年の後に衰退した文化集団「プロレトクリト」を国家と社会および大衆の関係から考察する論考を発表した。この作業は、コミンテルン機関において共産主義が内面化されていく過程の考察の予備的論考となるものであり、本格的な研究成果発表の準備作業を完了することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りにアーカイヴ史料の収集を進められている。モスクワおよび国内における史料収集作業によって、コミンテルンの中心史料は大半を収集できた。日本共産党関係および英国共産党関係についての資料収集と、資料分析を今後本格化させる必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
前二年間に引き続きアーカイヴ史料の収集と、その史料批判および分析を本格的に行う。とりわけ、日本共産党関連および英国共産党関連の資料収集・分析を進捗させる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
学内の海外研修引率業務を担当することになったため、2-3月に予定していた海外への史料収集出張を行うことができず、出張費用に予定していた金額が残るとなった。またパソコンの購入も新しいモデルの発売を待ったことで、年度内に行うことができなかった。 当初の予定では、最終年度の史料収集は補完的な作業と考えていたが、必要が生じたために今年度も海外(オランダ、イギリスなど)への長期での史料収集を行う。また、パソコンを購入し、海外出張時の活用と、研究成果を公刊する作業に活用する。
|