平成26年度は最終年度であり、補完的な資料収集にくわえて研究成果の公開・発表に注力した。 資料収集は、International Institute of Social History (オランダ)、People's History Museum (イギリス)、University of Birmingham (イギリス)で行った。この作業により1920年代におけるイギリス共産党の活動の詳細を把握することができた。 研究業績としては、昨年度に口頭発表を行ったイギリス共産党員だったM.マーフィーの伝記を考察した論文を公刊した。本論文では伝記という叙述形態を近年の歴史学の潮流から再考察するとともに、コミュニストとしてのM.マーフィーのアイデンティティの形成過程を捉えなおすことをこころみた。 ソヴィエト史研究会(6月)では、これまでの研究成果を国際的な研究潮流のなかで再度位置づけることで、本研究の提示する独創性とさらなる発展の可能性について提起した。 年度末(3月)にはBritish Association for Slavonic and East European Studies (BASEES)において、口頭発表をおこなった。これまでの研究の集大成的な位置づけとなるこの発表では、1920年代後半~1930年代半ばまでのスターリン表象を比較の視座から提起したものである。コメンテーターからも好意的な評価を受け、今後は比較考察を加えて英語で論文として公刊することを目指す
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