本研究は、墓誌史料の研究基盤となる情報の整理とその傾向分析を行い、史料の基礎的性格を解明することを目的とする。中国隋唐時代、死者とともに埋葬され、死者の功績とその血統などを数百の漢字で石刻して記した墓誌は、現在、当該時代の研究には不可欠な 史料である。ただし、墓誌はたった1件でもその豊富な内容から研究価値を有すること、そして墓誌の件数が膨大であることから、これまで数量的な研究がされず、史料の基礎的性格があやふやなままであった。そこで、本研究では墓誌史料を数量的に扱い、研究基盤となる情報の整理とその傾向分析を行う。2015年度の研究実績は以下の通りである。 (1)隋・唐時代の墓誌史料の研究基盤情報の整理とその傾向分析 これまで、隋唐時代のデータベース化してきた周暁薇等編『隋代墓誌銘彙編附考』(1-6、線装書局、2007年)の全521件、および『隋唐五代墓誌彙編』(全30冊、天津古籍出版社、1991-1992年)の4755件の情報を統計分析して、「隋唐期における墓誌史料の研究基盤情報の統計分析」『学習院大学国際研究教育機構研究年報』第2号(2016年2月、pp.164-179)として報告し、またこれに統計分析のもととなった各データベースを掲載した研究成果報告書を作成した。 (2)ソグド人墓誌との比較および網羅的傾向分析の継続 ソグド人墓誌の網羅的収集とその墓誌内容と本文の電子データ化は、計画通りこれまでに継続して行うことができた。
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