研究課題/領域番号 |
23730148
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
小山 俊樹 帝京大学, 文学部, 講師 (90454503)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 近代日本 / 機密費 / 内閣 / 外交 / 在外公館 / 陸軍 / 情報 / 政治改革 |
研究概要 |
本年度は、これまで限定されていた近代日本政治史に関係する「機密費」の史料を捜索・収集し、その情報を抽出することを計画した。その結果、下記の具体的成果を得ることができた。第一に、外務省外交史料館の所蔵する機密費史料について、収集・翻刻を行い、使途および運用実態に関する分析を行った。第二に、防衛省防衛研究所の所蔵する陸海軍機密費史料を収集し、かつ『密大日記』を始めとする機密費関係史料の記載項目についてデータベースを作成した。第三に、歴代首相・首相秘書官経験者を始めとする私文書群のうち、桂太郎・西園寺公望内閣関係の機密費史料を翻刻し、注釈を加えた。第四に、新規未公開史料群に含まれる、陸軍機密費関係の史料情報を入手した。第五に、明治~戦後期の新聞史料から機密費関連記事を収集し、目録を作成した。これらのうちの大半を占める一次史料群は、いずれも従来着目されることの無かった貴重な史料である。この収集・分析は、従来不明であった機密費運用の実態解明をもたらす重要なものであり、本研究の目的である機密費運用の歴史的考察に大きく貢献する。なお本年度の成果は、その一部を内務省研究会にて報告したほか、翌2012年度中に刊行予定である。本年度の調査活動により、戦前期の内閣および各省庁の「機密費」運用について、包括的に考察する準備がほぼ整った。次年度は、史料分析を進めるとともに、新規史料の調査収集を継続し、近代を通じた「機密費」運用の特徴を明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画のうち、史料の収集、分析、および成果公表については、大部分が順調に進展している。また、目録・データベース化の作業も当初の予定通りに進捗している。ただし、研究期間中の調査によって新たな重要史料群の存在が明らかになったため、新規調査の期間・予算について検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる次年度は、引き続き新規調査による史料収集を行うほか、研究目的である「機密費」史料の分析を進め、報告書の作成に重点を置く。報告書の内容は、収集史料の概要、主要部分の翻刻、「機密費」運用の通史的概観および分析結果を含むものとしたい。また成果の一部については、別途順次公表することを目指している。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、史料収集に関わる機材購入、複写料金、整理用器具、および翻刻・目録作成などの作業に対する謝金支払などを中心に使用した。そこで次年度は、収集史料の整理、および報告書の作成に関する費目(整理用器具、謝金など)の支出が必要となる。また新規の史料収集調査の費用も、本年度予算より捻出する予定である。なお本年度は、史料整理作業が予定よりも数日早く集結したこと等のため、謝金に予定された資金の一部を繰越申請した。該資金は、次年度の史料収集および謝金の一部として使用する予定である。
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