数理ファイナンスなど様々な分野において確率微分方程式の計算の高速化が必要となっている。楠岡が提案した高次弱近似手法(楠岡近似)は理論上これを実現するものであり、研究代表者と二宮(祥一)はこれを実行するためのアルゴリズム(NNアルゴリズム)を構築した(2009)。本研究ではその理論研究と数値実験を行った。理論研究により、NNアルゴリズムの中で用いられる確率変数の分散共分散行列の満たすべき条件式の数を減らせる可能性を発見した。また、NNアルゴリズムの中で用いられている積分手法の拡張可能性を証明した。また、数値実験により楠岡近似の適用範囲の拡大を行った。更に、実務における楠岡近似の普及を念頭にソフトウェアライブラリを作成、公開した。
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