本研究では、社会資源のなかでも特にセルフヘルプ・グループの活動に着目し、関連する社会学分野の研究動向の整理、遺族支援活動の動向調査、遺族グループの中長期的な事例研究の3つの作業を実施した。セルフヘルプ・グループには、相互支援活動と社会的情報発信活動(啓発活動や政策形成への働きかけ)の2つの方向への活動展開がみられ、特に後者は社会的なインパクトをもっていると考えられる。しかし一方で、特定の遺族グループに対する継続的な参与観察調査の結果としては、社会的情報発信活動は副次的なものであり、相互支援活動が集団維持の基盤となっていた。本調査事例からは、相互支援活動に対する社会的支援の重要性が示唆される。
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