注意、記憶、解釈等の認知処理の歪み、いわゆる認知バイアスは、社交不安を強め、維持する要因の一つと考えられている。本研究では認知バイアスと社交不安との関連を多面的に検討することを目的としていた。まずはこれまでわが国では測定方法が確立されていなかった、刺激に直面したその場(オンライン)で生じる解釈バイアスを測定する実験手法の開発を試みた。また、社交不安の軽減に効果を有する認知行動療法が、認知バイアス、特に自分の人前でのパフォーマンスに対する評価のゆがみである自己評価バイアスに与える影響を検討した。最後に、今後の研究の展開として、過去のライフイベントと社交不安の関連についても予備的検討を行った。
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