本研究の目的は、人材成長をもたらす経験を学歴別に明らかにすることにある。正規社員として働いている男子を対象にした質問紙調査を実施し、所得の規定要因を分析したところ、「高卒」と「大卒」それぞれの成長をもたらす要因に、次のような違いがあることが確認された。 第一に、大卒は初職に従事している段階において十分に上司と対話していたこと、高卒は仕事に幅をもたせてもらうことがその後の成長につながっていた。第二に、自己学習が所得に結びついていたのは、大卒のみだった。そして第三に、力量形成に結びつく読書のジャンルに違いがあり、大卒の場合は教養書、高卒の場合はノウハウ書等を読むことが効果的だった。
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