スペクトルあるいはそれに付随した情報を保存するBanach環の間の写像について,その構造を詳細に調べた.たとえば定数関数の存在を仮定せずに,関数環の間の距離を保存する写像すなわち等距離写像の構造を,線形とは限らない全射に対して解明した.スペクトルの部分集合であるperipheral spectrumを乗法的に保存する全射については,多くの研究が世界的になされているが,その一部分の情報であるスペクトル半径をある意味で保存する単位的半単純可換Banach環上全射の構造を解明した.さらに微分作用素や積分作用素の摂動を考え,そのHyers-Ulamの意味での安定性が成り立つための条件を与えた.
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