本研究は、原子泉方式を適用し Cs 原子のラマン遷移を用いることで現用の高安定実用原子時計(水素メーザー等)の周波数安定度を超える原子時計の実現を主目的としている。Cs 原子の D2 線を利用したラマン遷移に電気光学変調器により作製した 2 週波レーザーを 0.4 秒間照射することで約 1.8Hz の半値全幅をもつ蛍光信号を観測した。また、原子時計多重化に必須となる位相差測定器の開発にも成功した。これは、デジタルシグナルプロセシングと離散的フーリエ変換を用いて既存技術より用意に多数の原子時計間の位相差を精度良く観測できるもので、1 秒の観測時間で 10-14台の分解能を有する。
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