長期の人口減少に伴う空室率の増加が見込まれる日本において、既存の住宅ストックの広範な利用法が求められている。なかでも、集合住宅の界壁・界床の一部撤去による「二戸一化」は、柔軟な空間再編手法のひとつとして古くから着目されてきたが、合意形成の難しさなどから、実例は公的賃貸住宅や社宅におよそ限られているのが現状である。そこで本研究では、この二戸一化が比較的頻繁に行われている諸外国の分譲集合住宅の実例、また希少ながら存在する日本の実例の事例調査を行った。技術的な側面のみならず、その実施を支える多様なマネジメントのあり方を抽出することで、持続可能な集合住宅の利用法についての知見を得た。
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