研究概要 |
今年度はカイコサナギからタンパク質の精製をマルチウェルプレートを用いて行った。前年度にカイコサナギで発現させたGFPuv融合タンパク質(ヒト由来α1,4-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、ヒト由来β1,3-N-アセチルグルコサミニル多ランスフェラーゼ2)には6xHisタグが付加されているため、Ni-sepharoseおよびTALONアフィニティゲルを用いて精製を行った。溶出を100mMおよび500mMのイミダゾールで行った結果、溶出画分に各融合タンパク質は認められたが、250, 75, 40kDa付近にカイコ由来のタンパク質も一緒に精製されてしまい、ワンステップの精製が不可能であった。 そのためHisタグ以外の他の精製タグとして、現在カイコ発現系で使用されているFLAGタグを用いて精製を試みた。FLAGタグを持つタンパク質(ヒト由来ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ、ヒト由来α1,4-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、インフルエンザウイルス由来ヘマグルチニン)遺伝子を持つバクミドを構築し、前年度までに構築した方法でバクミドを抽出し、カイコサナギでの発現を行った。Hisタグによる精製と同様に96ウェルプレートを用いて、DDDDK-tagged protein purification gel(MBL)を使用してカイコ蛹抽出液から精製を行った。各タンパク質ともSDS-PAGEで精製が確認できたが、55kDa付近にもバンドが現れた。このバンドは精製ゲルに結合している抗体由来のバンドと推測され、精製方法を改良することにより解決できると推測された。このことからカイコサナギからの精製はFLAGタグを用いることが有効であることが示された。
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