熱水性金鉱床の生成過程の直接観察は困難なため、天然の金鉱脈試料、シリカスケール、そして人工的シリカ沈殿物(模擬熱水の温度を250度にまで上昇させた後に蒸発・濃縮させて調製)中の金・銀の化学状態分析及びREEパターンの検討と比較より、熱水性金鉱床形成のプロセスの新たなモデルの提案を試みた。シリカスケール及び天然金鉱脈試料の分析より、REEに関してはCe・Eu異常はほぼその形成時の酸化還元状態を保持していること、バルク分析結果は局所分析の結果を支持していることが分かった。一方で、金の化学状態が再現できなかったことは性質の異なる流体の寄与が金鉱脈形成にとって重要であったことを示唆するものであった。
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