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2011 年度 実施状況報告書

原子の準安定状態を用いた時間差イオン化による超低ノイズ希ガス同位体比分析計の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23760832
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

岩田 圭弘  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 高速実験炉部, 研究員 (20568191)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード原子力エネルギー / 原子・分子物理 / 計測工学 / 破損燃料位置検出 / レーザー共鳴イオン化 / 時間差イオン化
研究概要

高速炉用破損燃料位置検出システムの開発において、レーザー共鳴イオン化質量分析法を用いたクリプトン及びキセノン同位体比分析は有効である。しかし、分析に用いるレーザー波長が200-300 nmと短く、高速炉のカバーガス成分であるアルゴンとその二量体、及び炭化水素の光電子イオン化に起因するバックグラウンドの高さが大きな課題となっている。本研究では、クリプトン及びキセノン原子の準安定状態を用いた時間差イオン化により光電子イオン化由来のバックグラウンドを飛躍的に低減する。波長200-300 nmの短波長レーザーを用いて原子を励起し、準安定状態に遷移したタイミングで可視~赤外領域の長波長レーザーを用いて時間差イオン化する。励起用レーザーの照射時に生じる光電子イオン化事象は飛行時間型質量分析計のスペクトルで分離でき、イオン化用レーザーは波長が長く光電子イオン化事象を殆ど生成しない。平成23年度は、バックグラウンドが相対的に高いクリプトン分析について時間差イオン化を実証した。波長214.8 nmのレーザー(10 mJ/pulse)をレンズで集光してクリプトン原子を2光子共鳴励起させ、波長557.2 nmのレーザー(30 mJ/pulse)を直径5 mm程度の平行光で導入して準安定状態から(1+1)光子共鳴イオン化させた。従来の共鳴イオン化信号に加えて時間差イオン化信号が観測され、イオン化用レーザーの照射によるアルゴンの光電子イオン化スペクトルは殆ど観測されずバックグラウンドの大幅な低減を確認した。光電子イオン化の寿命はスペクトルの形状から数μs程度と予測され、時間差における原子の拡散による効率低下を考慮し、励起・イオン化用レーザーの照射時間差は5 μs程度が最適と考えられる。また、時間差イオン化効率は従来の共鳴イオン化効率の約10%と得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年間の研究計画の初年度は時間差イオン化スキームの確立が主な目的であり、バックグラウンドの影響が相対的に大きいクリプトン分析において達成した。光学部品の納期の関係でキセノン分析については次年度に実施することとしたが、クリプトン分析と同様な傾向を示すと考えられることから、当初の計画に沿っておおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、キセノン分析について同様に時間差イオン化を実証するとともに、クリプトン及びキセノンイオンをアルゴンイオンから分離して検出するためのスリット孔電極の設計を計画している。得られた結果をとりまとめ、時間差イオン化によるS/N比の改善度合いを評価するとともに、破損燃料位置検出に用いる同位体比分析計への適用性について考察する予定である。合わせて、研究成果の外部発表を行う。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度の研究費は、主にキセノン分析における時間差イオン化に必要となるミラー・レンズ等の光学部品の購入、スリット孔電極板の製作、分析に使用する標準ガスの購入に使用する他、学会発表及び投稿論文等の成果発信に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 希ガス同位体比分析における長波長レーザーを用いた時間差共鳴イオン化手法の開発2012

    • 著者名/発表者名
      岩田圭弘,伊藤主税,原野英樹,青山卓史
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス
    • 年月日
      2012年3月27日
  • [学会発表] 準安定状態を用いた時間差イオン化によるKr, Xe同位体比分析のバックグラウンド除去2011

    • 著者名/発表者名
      岩田圭弘,原野英樹,伊藤主税,青山卓史
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      富山大学五福キャンパス
    • 年月日
      2011年9月23日

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公開日: 2013-07-10  

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