地球温暖化は、生物の進化にどのような影響を与えるのだろうか?モデル植物のシロイヌナズナに近縁な野生種であり,幅広い標高帯に渡って分布するミヤマハタザオ(Arabidopsis kamchatica subsp. kamchatica)を材料とし,標高適応の機構を遺伝子レベルから明らかにすることで,環境変化が生物に与える影響を進化的な視点から理解しようと試みた.次世代シーケンス技術を活用した遺伝子スクリーニングの結果,トライコーム形成制御遺伝子GL1および光受容体遺伝子PHYBにおいて,標高適応を強く示唆する塩基多型を検出し,自然淘汰圧の一端を進化生物学・集団遺伝学的に明らかにした.
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