研究課題
スフィンゴ糖脂質の機能に関しては多くの知見が得られているが、同時に重要なのがその代謝制御機構の解明である。糖脂質は様々な代謝産物が生じる上、それぞれの代謝が異なる細胞内小器官で起こる。そのため代謝酵素の量(mRNA)だけでなく、これら酵素の細胞内局在や糖脂質輸送を制御する因子の同定が、糖脂質の発現制御を理解する上で必要不可欠である。以前申請者はスクリーニングにより、機能未知のタンパクGRINAのC末端側(GRINA-C)がGb3生合成抑制活性を有することを明らかにした。このGRINAは複数回膜貫通タンパクTMBIM (Transmembrane BAX Inhibitor motif containing) ファミリーに属し、FAIM2を含む他のメンバーにおいてもその全長を過剰発現させることでGb3生合成を抑制する。本研究ではこれらの知見をふまえ、TMBIMファミリーの新たな機能解明、及び糖脂質代謝における新規知見の探索を目的とする。昨年度までにFAIM2とユビキチンE3リガーゼの一種との相互作用の解明、及びFAIM2の機能に必須なアミノ酸の同定を行った。本年度は、GRINA-CとGb3合成酵素が実際細胞内で結合することを、BiFC法(bi-molecular fluorescent complementation法)を用いて確認した。また新たな糖脂質代謝の知見を得るためのツールとして、1.遺伝子編集法の一種、TALEN法の導入、2. レンチウイルスによるshRNAライブラリーの導入、を行った。そのうち1に関して、本実験で使用しているHeLa細胞において、高効率でスフィンゴ糖脂質関連遺伝子の破壊株を樹立することに成功した。本研究で作成した種々の糖脂質改変細胞は、遺伝子バックグラウンドが同じ細胞パネルとして、糖脂質代謝の比較をするうえで、有用なツールとなる(論文発表済)。
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PLoS One
巻: 9 ページ: e88124
10.1371/journal.pone.0088124
巻: 8 ページ: e80583
Journal of Biological Chemistry
巻: 288 ページ: 35417-35427
10.1074/jbc.M113.513192