研究課題
本研究では、マメ科モデル植物ミヤコグサの種間交雑組換え近交系(RI)2集団を材料として、遠縁交雑により生じるエピジェネティックな遺伝子発現変化を明らかにする事を目的としている。その為に、RI集団の親3系統と、RI集団後代から見出した、内在性レトロトランスポゾンLORE1aが活性化されていた4個体(以降RI個体)で、トランスクリプトーム解析を行った。今年度は昨年度に続き花と葉のRNAseqを行い、昨年度分と合わせ、花と葉それぞれ3回ずつの反復を持つRNAseqデータセットを得た。RI集団の親3系統のうち、ミヤコグサの塩基配列情報は利用可能であるのに対し、その交雑相手であるLotus filicaulis とL. burttiiの配列情報は無い。そこで、 (1) 解析した各植物ごとに、全RNAseqリードを用いてde novoアセンブルを行い、(2) 得たコンティグに対しリードをマッピングし、各コンティグにマップされるリード数を求め、(3) 相同性検索により各コンティグと遺伝子との対応付けを行い、遺伝子あたりのリード数、つまり遺伝子発現量に換算する方法をとった。各植物から2億強のペアエンドリードを得、これらをde novoアセンブルし、約20万のコンティグを得た。これらのコンティグは約3万の遺伝子に対応していた。統計的解析によりRI個体の間で共通に転写変動した遺伝子を選抜したところ、その中にはLORE1とその他トランスポゾン様配列が含まれていた。本研究の手法は、塩基配列情報が無い植物のトランスクリプトーム解析に有効であると考えられる一方、遺伝子発現量の違いを大きくするバイアスがかかりやすい事が分かったので、今後方法論のさらなる検討を行う。また、発現変動が明らかになった遺伝子のエピジェネティックマーク等の解析を進める。
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