近年,高騰傾向にある化学肥料の代替として堆肥等の有機物を積極的に活用した水稲栽培システムにおける根系の発生・枯死を含む動態を調査して,水稲の生育・収量と炭素貯留にどのような影響を及ぼすかについて検討をおこなった.その結果,有機質肥料を利用したイネ栽培では根の反応が化学肥料を用いて栽培するこれまでの慣行栽培と特に生育前半で異なり,根の発生量・枯死量ともに有機質肥料を施用した場合に大きくなった.この差異は水田における土壌炭素蓄積にも影響を及ぼすと考えられ,その影響はこれまで予想されていたよりも大きい可能性が示唆された.
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