研究課題/領域番号 |
23780271
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
朝隈 貞樹 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター酪農研究領域, 主任研究員 (50374773)
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キーワード | 牛乳 / 放牧 / 脂肪酸 / 香気成分 / 風味 |
研究概要 |
前年度より引き続き、放牧牛乳クリームを三種類のスターターにより発酵させたサンプルについて、均質化およびクリーム濃度の変化が乳酸菌の機能性脂質合成に及ぼす影響について検討する予定であった。これは前年度得られた均質化を行っていない発酵クリームサンプルにおける分析値を元に条件検討をする計画であったが、クリーム中の脂肪酸分析および揮発性香気成分分析について分析方法に改良等が必要となった。 脂肪酸分析に関しては、作成した発酵クリーム中の成分濃度が高いために、従来の方法(牛乳で用いている方法)では不安定で再現性の高いデータが得られず、約40℃でサンプルを湯煎しながら採取し、さらに蒸留水で5倍希釈することにより従来法での分析を可能にした。均質化を行わない場合、40%放牧牛乳クリームを用いた発酵試験では、いずれの乳酸菌スターターにおいても機能性脂質である共役リノール酸(c9t11型)は、発酵時間による濃度変化をそれぞれ異なるが、一定の濃度増加は見られなかった。 試験により得られた発酵クリームサンプルの風味等を検討するため、揮発性香気成分分析については、ヘッドスペース固相マイクロ抽出法(HS-SPME)を用いることとしたが、本法についても牛乳やチーズとは異なる条件が必要となるため、測定条件の検討を行った。その結果、発酵クリームサンプルにおける測定条件として、サンプル量3g、抽出温度40℃、抽出時間30分が再現性の高い条件であることが確認され、さらにサンプルに対して内部標準物質として、2-methyl-3heptanoneを3.125ppm添加することで香気成分の回収率を考慮した測定を行うことを可能とした。しかし、分析結果に関しては、脂肪酸濃度の結果と同様、スターターの種類による変化は限定的なものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、均質化の有無および濃度の違いによって脂肪酸や香気成分といった風味に関与する物質の測定を終了している予定であったが、測定条件を検討する作業が新たに加わったため予定した計画よりも時間がかかっているのが現状である。本年度で測定おける改良が一定の成果を得たので、最終年度に当初予定した試験および分析を終了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
均質化した放牧牛乳クリームを数種類の濃度で用意し、これまで試験に用いて来た3種類のスターターで発酵試験を行う。得られたサンプルを用いて、脂肪球膜を破壊したときの乳酸菌における脂肪酸濃度の変化および香気成分の変化に及ぼす影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画に若干の遅れが見られるが、当初の予定通り研究を遂行するため、分析試薬の購入、情報収集・研究発表のための学会活動、研究成果を発表するための論文校閲および投稿費用などに使用する。
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