本研究では、ウシ生乳中の優占種細菌が、ウシ乳房内のウシ乳腺上皮細胞(細菌を認識する細胞;以下BMEC)に与える影響を調べた。まず、乳中で最優占種のLactococcus lactisがBMECに与える影響をマイクロアレイで解析した結果、BMECの細胞内シグナル伝達関連遺伝子の発現が大きな影響を受けることが示された。次に、乳中細菌優占種であるグラム陽性菌(L.lactisを含む3株)とグラム陰性菌(4株)に対するBMECの遺伝子発現量変化を定量PCRで調べた結果、ウシ乳房の炎症を引き起こす炎症性サイトカインがグラム陰性菌によって強く誘起されることが示された。また、菌種によって細胞内シグナル伝達への影響が異なることが明らかとなった。
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