本研究では、優れた利点を併せ持つショウジョウバエモデルを用いて、腸管自然免疫・恒常性維持における新規エピジェネティック制御機構に迫ることを目的とした。腸管上皮幹細胞において、特異的な染色体修飾を人為的に減弱することで、ストレス応答遺伝子群の発現亢進が観られることを明らかにした。また、この特異的な染色体修飾の減弱により、短期的には細菌感染・ストレスに対する抵抗性の上昇が観られるものの、長期的には寿命短縮に繋がる現象が引き起こされることが示唆された。本研究結果から、腸管上皮幹細胞における特異的なエピジェネティック修飾が、ストレス応答・恒常性維持機構の適切な制御に寄与している可能性が示された。
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