研究課題
細胞内へ高効率に移行する膜透過性ペプチドは、遺伝子やタンパク質を含めた生理活性分子の細胞内送達キャリアーとして、基礎研究から疾患治療を指向した研究まで幅広く利用されている。本研究では、細胞外から細胞内オルガネラをターゲット可能な膜透過性ペプチドの創製研究において、ミトコンドリアへの特異的な薬物送達が可能なペプチドキャリアーの創出を目的としている。これまで研究代表者は、両親媒性ヘリックスペプチドであるRLAペプチド(D(RLARLAR)2)を新たに創製し、細胞外から投与すると細胞膜を通過し、ミトコンドリアに集積することを示している。本年度において、RLAペプチドの細胞内移行過程をリアルタイムイメージングで解析した結果、数分といった短時間でペプチドが細胞膜を通過し、そのほとんどが瞬時にサイトゾル中でミトコンドリアに集積することが確認された。前年度での報告の通り、本ペプチドの細胞内移行にはエンドサイトーシスが関与していることが既に示されているが、エンドサイトーシスの初期の段階で高効率に膜透過を生じるといった興味深い細胞内移行機序が明らかとなった。またこれらの知見を基に、RLAペプチドの膜透過性を促進する為に、新たに疎水性対イオンであるピレンブチレートを共存させた結果、ペプチドの細胞内移行量が5倍程度上昇し、細胞膜通過性も顕著に上昇させることにも成功した。本手法が、ミトコンドリア送達における新しい手法として今後貢献することが期待される。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.bbrc.2014.03.018
ACS Chemical Biology
巻: 8 ページ: 1894-1899
10.1021/cb400298
Biopolymers (Peptide Science)
巻: 100 ページ: 698-704
10.1002/bip.22310
Biochemica et Biophysica Acta-Biomembranes
巻: 1828 ページ: 2134-2142
10.1016/j.bbamem.2013.05.016
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters
巻: 23 ページ: 3738-3740
10.1016/j.bmcl.2013.05.008
Angewandte Chemie International Edition
巻: 52 ページ: 5497-5500
10.1002/anie.201301266
Molecular Biosystems
巻: 9 ページ: 855-861
10.1039/c2mb25467k
https://www.nanosq.21c.osakafu-u.ac.jp