腸内細菌によるヒ素の代謝を化学形態別分析によって明らかにし、ヒ素化合物の吸収および排泄に関する腸内細菌の役割について明らかにすることを目的とした。抗生物質処理したラットと無処理ラット(対照群)に、ジメチルアルシン酸を経口投与すると、対照群と比較して、抗生物質投与群の肝臓へのヒ素の蓄積は有意に低下し、抗生物質投与群において、含硫ヒ素化合物の生成が有意に低下していることが分かった。また、ラットにアルセノコリンを経口投与すると、糞中に未同定ヒ素化合物が検出された。以上のことから、ヒ素の吸収、代謝、排泄に腸内細菌が関与している可能性が示唆された。
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