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2012 年度 実施状況報告書

診療関連死発生時の医療者の対応意識に与える諸要因に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23790582
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

中島 範宏  東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10567514)

キーワード診療関連死 / 医療事故 / 届出制度 / 医療安全 / 社会心理学
研究概要

本研究は,診療行為に関連した死亡(以下,診療関連死)が院内で発生した際に,医療者の対応意識に影響を与える要因を特定することを大きな目的としている。また,職種の違いによる対応意識の差に着目し,結果としてどのように医療機関としての意思形成がされていくのかについて検討することも目的の1つである。そこで本研究では任意に抽出した日本医療機能評価機構認定病院の管理者,医師,看護師,リスクマネージャーを対象にアンケート調査を行う計画を立てている。
平成23年度は諸外国の国家レベルでのインシデントおよびアクシデント報告システムや届出制度について文献調査を行ったが,平成24年度はアンケート調査を中心とした研究作業を行った。アンケート項目および調査実施計画について東京女子医科大学倫理審査委員会にて承認を得た。日本医療機能評価機構認定病院の中から100の医療機関を無作為抽出して調査依頼を行い,294人の医療者から調査票を回収した。
本アンケート調査では回答者の職業性ストレスを測定しており,調査実施時期によって職業性ストレスの内容に特徴が表れる可能性がある。本研究では職業性ストレスの特徴も詳細に分析する必要があるため,実施時期による差についても検討したいと考え,実施時期を2回に分けてアンケートをすることにした。
平成25年度は更に100の医療機関に対し,平成24年度とは別時期にアンケート調査を実施する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は平成24年度にアンケート調査を終え,研究期間を満了する予定であった。しかし,前年に新職業性ストレス簡易調査票が公表されたため,このアンケートで採用するスケールを新バージョンに急遽変更した。そのためアンケートの書式の変更が生じ,倫理審査申請が当初よりも遅れて平成24年夏となった。それに伴い倫理審査の承認を得る時期も遅くなり,全体的な予定が半年ほど遅れた。
学会の多い時期や年末年始,人事異動の時期はアンケート回収率の点からも調査実施時期として適切ではない可能性がある。また,本調査は職業性ストレスも扱うため,回答時期の違いによる医療者のストレスについて分析することは新たな知見となると考えた。そこで計画を変更し,平成24年度内に当初予定数の半数にあたる100の医療機関に調査を行い,平成25年度に改めて残りの100の医療機関に対して調査を行うこととした。
本研究の目的は①診療関連死発生時における各職種の対応意識に影響を与える要因,②診療関連死発生時の同一医療機関内における多職種間の関係性,③モデル事業依頼医療機関とそれ以外の医療機関における職場環境上の差,④海外における診療関連死届出を円滑に進める取り組みの状況,について明らかにすることであるが,その目的を達成する上での障害は発生していないため特筆すべき問題はないと考えている。
次年度は残りの調査の実施と分析を行い,研究成果の公表を行う。

今後の研究の推進方策

平成25年度は新たに100の医療機関を対象にアンケート調査を行う。既に物品の購入や配布準備も済んでいるため,研究遂行上の課題はない。アンケート回収後は平成24年度の調査結果と併せて,診療関連死発生時の医療者の対応意識に与える影響要因について分析を行い,学会発表・論文作成を行う。また年度末には速やかに報告書を作成する。
諸外国との比較についても考察を加えるが,長期来日中で知人のアメリカ人研究者とディスカッションを行うなどして,考察内容の精度を高める予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度の研究費の使用用途としてはアンケート調査の回収費用が挙げられる。また,成果報告や情報収集を目的とした交通費・学会参加費,および英文論文作成に係る校正費に用いることを予定している。知見を深めたり本研究の考察を行う上で有用な書籍があった場合には購入する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 42名医局長インタビューからみえた勤務環境改善視点2012

    • 著者名/発表者名
      野原理子, 佐藤文子, 奥津康祐, 中島範宏, 吉川徹
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 242 ページ: 627‐630

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 医道審議会の現状2012

    • 著者名/発表者名
      中島範宏,奥津康祐,畑中綾子,細川寛裕
    • 雑誌名

      厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究 診療関連死の中立的原因分析と再発防止に関する研究 平成23年度総括研究報告書

      巻: 1 ページ: 8-18

  • [雑誌論文] 医療事故について刑事責任,行政処分が問われた過去の事例検討2012

    • 著者名/発表者名
      畑中綾子,中島範宏,木村哲
    • 雑誌名

      厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究 診療関連死の中立的原因分析と再発防止に関する研究 平成23年度総括研究報告書

      巻: 1 ページ: 51-66

  • [学会発表] 東日本大震災被災地への医薬品の持参・供給状況とストレス支援

    • 著者名/発表者名
      中島範宏,中村賢
    • 学会等名
      第28回 日本ストレス学会学術総会
    • 発表場所
      北海道札幌市
  • [学会発表] 各診療科の向精神薬処方状況と転倒転落の背景要因に係る研究

    • 著者名/発表者名
      中島範宏
    • 学会等名
      第19回 ファイザーヘルスリサーチフォーラム
    • 発表場所
      東京都千代田区
    • 招待講演
  • [学会発表] 大学病院における睡眠導入剤の処方傾向

    • 著者名/発表者名
      中島範宏, 井上忠夫, 奥津康祐, 加藤多津子, 上塚芳郎
    • 学会等名
      第50回 日本医療・病院管理学会学術総会
    • 発表場所
      東京都千代田区
  • [学会発表] 大学病院における転倒転落事故の背景要因

    • 著者名/発表者名
      中島範宏,金子恵美子,加藤多津子,上塚芳郎
    • 学会等名
      第14回 日本医療マネジメント学会学術総会
    • 発表場所
      長崎県佐世保市
  • [学会発表] 災害拠点病院による東日本大震災への支援状況と備蓄在庫の現状

    • 著者名/発表者名
      中島範宏,加藤多津子,上塚芳郎,SPD研究会
    • 学会等名
      第14回 日本医療マネジメント学会学術総会
    • 発表場所
      長崎県佐世保市

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公開日: 2014-07-24  

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