研究概要 |
既存の抗うつ薬によるうつ病の完解率は30~50%であり,新たな作用点をもつ治療薬の開発が望まれている.本研究では,既存の抗うつ薬に抵抗性を示す慢性的グルココルチコイド処置マウスのうつ様状態に対して,代謝型グルタミン酸2/3受容体拮抗薬が有効であることを見いだした.また本マウスの大脳皮質前頭前野においてドパミン神経機能の亢進が認められ,既存の抗うつ薬はこのドパミン神経活性化に影響を与えなかったが,代謝型グルタミン酸2/3受容体拮抗薬により改善がみられた.本研究の成績は,代謝型グルタミン酸2/3受容体が,治療抵抗性うつ病に対する有力な創薬標的分子であることを示唆する.
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