既知の癌予防食品成分から microRNA の発現を調節している物質を見つけるため、RB 失活癌細胞に対して G1 期における細胞周期停止を促す物質の探索を行った。その結果、フラボンを見いだした。フラボンは RB 非依存的に G1 期における細胞周期停止を誘導した。 そのメカニズムとして、RB ファミリーである p130、p107 の活性型フォームが観察された。また、転写因子である E2F1、E2F3 タンパク質の量が減少していることが見いだされた。そこで E2F3 をターゲットとしている microRNA である miR-34a の関与を検討したところ、miR-34a の発現量が上昇していることが明らかになり、miR-34a がフラボンによる G1 期停止に一部関与していることが示唆された。これらの結果から、食品成分による生体内 microRNA の調節は可能であると示唆され、microRNA を調節することによる癌の化学予防の実現が充分期待出来る。
|