本研究は「地域在宅高齢者の個人の性格=パーソナリティが健康行動、食行動、および将来の身体的健康にどのような影響を及ぼすのか」について明らかにすることを目的として研究を行った。パーソナリティーの検討には、妥当性・信頼性の検討されたEysenck Personality Questionnaire- Revised日本語版(EPQ-R)を用いた。ベースライン時の調査から、①「非協調性」傾向が高い:高齢、男性、現在も喫煙、現在も飲酒、長時間睡眠、運動をしていない、心疾患既往、身体機能低下者が多い、②「外向性」傾向が高い:男性、喫煙・飲酒習慣がない、主観的健康観が高い、規則的に食事をとっている者が多い、③「神経症」傾向が高い:男性、短時間睡眠、主観的健康観が低い者が多い、ことが明らかとなった。一方、食事摂取との関連では、特にタンパク質、脂質摂取量が、「非協調性」・「神経症」傾向においては得点が高くなるほど減り、「外向性」傾向では得点が高くなるほど増える傾向が認められた。方、種々のパーソナリティーにおける健康行動が将来の身体的健康にどのような影響を及ぼすかについて、健康障害としては比較的早期に現れる「高次生活機能低下」との関連を見たところ、「非協調性」傾向が高い者、ならびに「外向性」傾向が低い者において7年後の高次生活機能低下と有意な関連が認められた。先の検討からこれらパーソナリティーは、不健康な生活習慣を送っている者が多いことからも、適切かつ効果的な指導を行う上で、重要な一指標となりうる可能性が考えられた。
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