研究課題/領域番号 |
23791364
|
研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
藤原 広臨 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (10599608)
|
キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究は、インターネット依存傾向という、現代に特有な依存にかかわる神経基盤を、分子イメージングを主とする脳画像検査を用いて解明することを目的とした研究である。これにより、過度のインターネット使用に伴う精神的変調、学業および職業上の問題などの有害事象を解消する手がかりが得られる可能性がある。 具体的には、インターネット依存の程度および、これと関連する他の心理学的指標(性格傾向など)を質問紙により評価し、構造MRI、ドーパミン神経伝達の程度を定量化できるPET検査を実施し、それらの相関を解析するという手法をとっている。 平成24年度終了時点では、14名の被験者にて実験実施済みであり、予定実施例数の20人まで、平成25年度に実施できる見込みである。現段階での解析結果では、ドーパミン神経伝達のなかでも、とりわけドーパミンD2受容体の結合能と、インターネット依存の尺度得点との関連が示唆されているが、統計学的有意には至っていない。また、各心理指標間での関連が示唆されるなど、インターネット依存の程度には複数の要因が影響していることが考えられるが、どのようなかたちで影響を及ぼしているのか、という点においては十分な検討には至っておらず、サンプルサイズの増加とともに、多変量解析などの統計学的手法を用いた詳細な解析を行っていく予定である。 なお、質問紙を国内外の医療機関等と共有し、本研究テーマに関する多施設での成果を総括していく試みも併せて実施中で、現在のところ、約150例のデータを取得している。 さらに、精神疾患患者におけるインターネット依存の傾向を定量化し、健常者との群間比較を行っていくが、その点においても、抑うつ状態等の患者における検討を実施中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
画像検査機器の使用状況という点において、放射線医学総合研究所では複数の研究が同時並行で実施されており、その点において、本研究の進捗速度に波があるのは事実ではある。このため、現在のところ、成果の報告という段階には至っていないが、実施頻度としてはおおむねコンスタントであり、総じて、おおむね順調に進展しているものと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も、引き続きMRI,PETを用いた脳画像検査を施行していくが、平成24年度終了時点では、14名の被験者にて実験実施済みであり、予定実施例数の20人まで、平成25年度に実施できる見込みである。 また、いわゆる多変量解析などの統計学的手法を用いた解析を導入していくことで、インターネット依存傾向とドーパミン神経伝達の関連にかかわる多数の要因のなかでも、どのような因子が特に影響しているのかなど、包括的な理解につながる知見を明らかにしていく予定である。 なお、質問紙を国内外の医療機関等と共有し、インターネットの重度依存者、精神疾患罹患者(抑うつ状態患者など)における本研究テーマに関する成果を包括していく試みも実施中であるが、現在のところ、約150例のデータを取得しており、これも継続して行っていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
データ収集の進捗に伴い、国内外への学会発表や論文としての成果報告を行っていく。また、国内外の他施設の研究者との交流を介した研究の進展、インターネット依存の概念啓蒙等も行っていく。このため、平成25年度の本研究日は主に、①旅費交通費②学会参加費および論文投稿費③論文投稿等のための情報収集(書籍購入など)に充てていく予定である。
|