本研究は、インターネット依存傾向という、現代に特有な依存にかかわる神経基盤を、分子イメージングを主とする脳画像検査を用いて解明することを目的とした研究である。これにより、過度のインターネット使用に伴う精神的変調、学業および職業上の問題などの有害事象を解消する手がかりが得られる可能性がある。 具体的には、インターネット依存の程度および、これと関連する他の心理学的指標(性格傾向など)を質問紙により評価し、構造MRI、ドーパミン神経伝達の程度を定量化できるPET検査を実施し、それらの相関を解析するという手法をとっている。 平成25年度終了時点では、18名の被験者にて実験実施済みであり、予定実施例数の20人まではわずかに到達できなかったが、平成26年度に実施できる見込みである。現段階での解析結果では、ドーパミンD2受容体の結合能と、インターネット依存の尺度得点との有意な相関が示唆されている。一方、自尊心など、各心理指標がこの相関を媒介している可能性が示唆されているが、統計学的に有意には至っていない。また、MRI構造画像の結果と、とインターネット依存傾向の関連も検討しているが、有意な相関を見出すには至っていない。このため、本研究課題は平成25年度で終了とはなるものの、平成26年度も引き続き、予定症例数までのサンプルサイズの増加とともに、多変量解析などの統計学的手法を用いた詳細な再解析を行い、論文等による成果発表の予定である。 なお、質問紙を国内外の医療機関等と共有し、本研究テーマに関する多施設での成果を総括していく試みも併せて実施中で、現在のところ、約220例のデータを取得しており、このデータ取得も継続していく予定である。
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