まず生理的条件下の脊髄におけるTROY蛋白の発現、及び局在を検討した。その結果、TROYは胎生期にはNestin陽性、GLAST陰性の脊髄背側の神経前駆細胞/放射状グリア細胞に発現し、生後はGFAP、及びS100陽性のアストロサイトに発現していることが判明した。次に脊髄背側半切断モデルを作成し、損傷1、3、7、14、21日後の損傷部におけるTROYの発現を検討した結果、損傷3日後の損傷部周囲に限局して少数の細胞にのみ発現が認められた。これらの結果よりTROYは主に発達過程の脊髄背側の神経前駆細胞/放射状グリア細胞、及びアストロサイトの発生に重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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