本研究では腫瘍の転移や腫瘍と周囲環境の相互作用に重要と思われる形態形成因子である BMP の卵巣癌における役割について研究をおこなった。漿液性卵巣癌組織片での BMP シグナリングの細胞内伝達物質である SMAD5の発現を検討したところ、SMAD 高発現のグループは予後が不良であった。卵巣がん細胞株を用いて BMP シグナルを促進すると腫瘍の増大を認め、反対に SMAD5 のリン酸化を阻害してBMP シグナルを抑制すると腫瘍増殖は抑制された。以上より BMP シグナリングは卵巣癌の予後に関与しており治療ターゲットとなりうることが示された。
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