研究概要 |
研究目的:正常眼圧緑内障(NTG)モデルマウスというべき性質を備えたNF-kBp50 ノックアウトマウス(KO )を用いて、タクロリムスの網膜神経節細胞(RGC)保護、再生について研究を進める。研究実地計画に基づき、ワイルドタイプマウス(WT),KOマウスそれぞれにタクロリムスを一か月腹腔内投与を行い、HE染色した網膜切片を用いてRGC数、視神経横断面積、電子顕微鏡による軸索数を計測し検討した。視神経横断面積は、WT,p50KOともにタクロリムス投与群、非投与群で有意な差は認められず、p50KOにおいてRGC,軸索数ともにタクロリムス投与群では非投与群よりも有意にRGC細胞減少が抑制された。得られた資料を用いて、神経保護、再生に関わるNF-kBp50, p65, BAX, PAX6, Chx-10 の抗体を用いて免疫染色を行い、網膜細胞との二重染色を行った。PAX6, Chx-10などの再生にかかわるホメオボックス遺伝子は、PKCα(双極細胞の標識)との二重染色陽性を示し、網膜再生に双極細胞が鍵であることが示唆された。信州大学緑内障外来において、タクロリムスの点滴、内服使用歴があり、NTGの診断がなされている患者を医療記録より検索、タクロリムス使用期間における視野欠損の進行、視神経繊維厚を測定した。タクロリムス投与期間において、該当する患者における視野欠損進行、神経線維厚の減少は認められず、タクロリムスの神経保護効果が示唆された。
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