研究概要 |
研究目的:正常眼圧緑内障(NTG)モデルマウスというべき性質を備えたNF-kBp50ノックアウトマウス(KO)を持ちいて、タクロリムス(Tac.)の網膜神経節細胞(RGC)保護、再生について研究を進めている。 研究実施計画に基づき、RGCが減少してくると思われる4ヶ月齢のワイルドタイプマウス(WT)、KOマウスそれぞれにTac.を6ヶ月間腹腔内投与を行い、HE染色した網膜切片を用いてRGC数、電子顕微鏡を用いて軸索数を計測し検討した。10ヶ月齢のWTでは軸索、RGC数に変化はなく、同月齢のKOではWTに比して40%程度のRGC数の減少が認められた。タクロリムスを投与したKOではRGC数、軸索数の減少は見られず、自然経過においてタクロリムスが神経保護に関与していることが示された。 神経保護、再生に関わると思われる物質を調べるため、RT-RCR,ERISA法をもちいて、各種成長因子の発現(bFGF、NGF、Wnt3)について検証した。タクロリムスを投与したKOマウス、もしくはマウス硝子体内にN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)を投与した網膜障害-再生モデルにおいて、bFGF の発現が多く認められた(KO+Tac.;150pg/ml,WT+NMDA+Tac.;135pg/ml, control;20-30pg/ml)。したがって、NTGモデルマウスを用いた実験によってTac.の神経保護、再生の可能性が示唆され、bFGF がキー物質であることが示唆された。
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