研究課題/領域番号 |
23792219
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 靖宜 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50448114)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | インプラント / チタン / 抗菌加工 |
研究概要 |
今年度は文献の閲覧と学会参加により情報の収集を行なってきた。文献からはゾルゲル法の医学工学各分野への応用と実例を学ぶことで広い知識を得た。生体へはコーティング以外の応用法があり本研究にとって非常に参考になるものであった。ゾルゲル法で作製された試料は高い生体親和性を示すことが記された文献が多く検索された。生物系とは異なった手法を用いるため、互いに深い知識を得るために頻繁に研究スタッフとディスカッションを行った。その結果スタッフと知識を共有することが出るようになり、今後の方針を明確にするべく議論を重ねている。 平成23年5月には広島で行われた日本歯科補綴学会学術大会に参加し、平成23年9月には日本口腔インプラント学会学術大会に参加した。会場では外部研究者と情報交換を行いプロジェクト進行の有用な情報を得た。また学会参加により最新のインプラント周囲の組織へ配慮した上部構造の形態を学び実験の構想に取り入れることができた。 本実験で使用を予定しているバンコマイシンの口腔内細菌への薬物有効濃度は過去の文献を検索することで確認することができた。今後は口腔内細菌を培養して、寒天培地上で有効濃度を確認する予定である。しかしゾルゲル法を用いてコーティングをおこない、抗菌加工を施した試料の作製は難航しており未だ完成した試料を用いて実験を行うことはできていない。来期で試料を完成させることができ次第、速やかに抗菌性および耐久性を評価する実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画はやや遅れている。今年度は研究計画を熟考することに時間を費やした。まずはゾルゲル法に対して文献より知識深めた。文献からはゾルゲル法の各分野への応用と実例を学んだ。生体へはコーティング以外の応用法があり、作製された試料は高い生体親和性を示すことが記された文献が多く検索された。それらは本研究にとって非常に参考になるものであった。その反面、いままで携わってきた生物系とは全く異なった手法を用いるため、試料作製方法については難航している。まず試料の作製には当初想定していた規模より大きな設備が必要なことがわかった。そして現在試料の作製に技術的にサポートしてもらう実験協力者を検索している。本研究では試料の作製がまず大きな達成すべき課題である。このことが達成出来れば次の実験を進める予定である。 本実験で使用予定であるバンコマイシンの口腔内細菌への薬物有効濃度は過去の文献を検索することで確認することができた。今後は実際に口腔内細菌を培養して、寒天培地上で有効濃度を確認する予定である。これについては特に嫌気性細菌に対する有効濃度を確認できるよう実験技術の習得を進めている。また試料が完成されれば速やかにin vitroおよびin vivoでの評価を行う準備は整っている。
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今後の研究の推進方策 |
24年度はまずゾルゲル法を用いて抗菌加工を施した試料の作製を第一の目標とする。試料作製の技術的な教授を乞うためにも協力実験施設を検索する。試料が完成すれば抗菌性および耐久性の評価を行う。抗菌性の評価としては口腔内細菌を含む液体培地内に抗菌加工を施した試料を浸漬して24、48、72時間での菌量を吸光度計で測定し、OD値を比較する。また耐久性の評価としては抗菌加工を施した試料を作製して静水圧加圧を行い、位相差顕微鏡にて表面の画像解析を行う。また、分光学的にバンコマイシンを定量し、その除放性の有無を検討する。続いて細胞培養の手法で抗菌加工を施した試料上で歯肉線維芽細胞および骨芽細胞の増殖能および接着能の評価を行いin vitroでの生体親和性を検索する予定である。またマウスを実験動物として背側皮下に抗菌加工を施した試料を埋め込み、24時間後、皮下表面の血管数を画像解析して、炎症の有無を検討する また学会にも積極的に参加することで情報収集を行い、トレンドを取り入れることで今後プランを改善させる。5月には横浜で行われる日本歯科補綴学会学術大会、9月には大阪で行われる日本口腔インプラント学会学術大会に参加する予定である。また海外で行われる国際学会への参加も検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず試料の作製に財源を物品費として大きく充てる予定である。そのために23年度は研究費の使用を抑えてきた。また細菌培養および細胞培養では培地および培養液の作製、細菌株および細胞株の購入その他ディスポーザブル物品の購入に充てる予定である。動物実験を行う環境が整えば手術器具および画像評価を行うための撮影装置の購入が必要になる。また汎用ワークステーションの設備環境を更に揃える必要があるなら物品として購入が必要になる可能性がある。 旅費としては国内外含めて5つ程度の学会参加を予定している。その参加費および旅費として使用する予定である。また遠方施設に出向することになれば交通費として使用することになる可能性もある。
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