細胞表面の糖鎖は癌化に伴い大きく変化し、腫瘍の進展に重要な役割を果たす。本研究では、口腔癌における糖転移酵素GnT-Vの発現、さらに悪性度評価のため分子イメージングであるPET検査との関連性を検討し、癌の進展におけるGnT-Vの影響を調べた。口腔癌では正常組織と比較して有意なGnT-VmRNAおよびタンパクの発現亢進を認めた。また、FDG-PETおよびhypoxiaimagingであるFMISO-PETにおけるSUV値が高いと、GnT-VおよびHIF-1αの発現も高い傾向を示し、低酸素状態ではGnt-Vの発現や機能が亢進している可能性が示唆された。さらに、ヒト口腔癌細胞株SAS細胞にswainsonine処理を施しGnT-Vの機能を阻害すると細胞運動能と細胞浸潤能が低下した。GnT-Vによる糖鎖修飾は細胞運動能および浸潤能亢進させ、癌の進展に関与すると思われた。
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