研究課題/領域番号 |
23792732
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
山内 加絵 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (40363197)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 施設 / 高齢者 / 健康管理 / アセスメント |
研究概要 |
高齢者施設の看護師は、入所者の重症化や医療職の配置の問題、急変時の判断や対応の困難さなど様々な問題を抱えており、高齢者を的確にアセスメントすることに困難を感じている。そのため、本研究では介護保険施設の一つである介護老人福祉施設(以下、特養)の看護師に焦点を当て、高齢者の異常の早期発見、重症化予防のために、特養で熟練看護師が実践している予防的ケアの専門的視点やアセスメントの特徴を含めた観察や判断のアセスメントプロセスを明確化し、アセスメントの標準化を図ることを目指す。そこで、今年度は高齢者施設の健康管理の実態や熟練看護師の実践知についての文献研究によるインタビューガイドの作成に取り組んだ。具体的な取り組み内容を下記に示す。1.高齢者施設の健康管理の実態や熟練看護師の実践知についての文献研究1)高齢者施設における健康管理の実態や看護師の判断に至るアセスメント、枠組み等についての国内外の文献研究を行い、その実態や研究の動向を把握、検討した。その結果、高齢者施設にける熟練看護師の実態についての学術論文はほとんど見当たらなかった。そのため、資料や総説、施設の実践報告等から高齢者施設での現状や問題点等を把握した。 2)高齢者看護以外の熟練看護師のアセスメント能力や実践知等の観察の視点、判断プロセスの研究の有無やその内容について検討し、本研究の研究方法等の参考にした。 3)海外文献においては、我が国と高齢者施設を取り巻く社会システムが異なるため、我が国との問題点や現状の相違点などを検討した。2.インタビューガイドの作成上記の文献検討に基づき、熟練看護師の実践知の枠組みを作成し、半構造化面接のためのインタビューガイドを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高齢者施設における健康管理の実態や看護師の判断に至るアセスメント、枠組み等についての文献研究を行ったが、それらについての学術論文はほとんど見当たらなかった。また、高齢者看護以外の熟練看護師の実践知についても文献が少なかったため、資料や総説、施設の実践報告等から高齢者施設での現状や問題点等を把握するなど、文献検討に時間を費やした。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、昨年度に行った文献研究によるインタビューガイドに基づき、半構造化面接を行う。さらに、非参与型観察を行い、実際の熟練看護師の観察内容や判断のプロセスをフィールドワークを通して明らかにする。1.面接調査方法1)研究協力施設及び研究参加者:府内の介護老人保健施設に依頼し、看護管理者から優れた看護実践を行っていると評価されている熟練看護師10名を研究参加者として推薦してもらう。府内の施設にて研究参加者が得られない場合は、他県の特養に調査を依頼して協力を得る。 2)面接内容:早期発見、予防のためのアセスメントを行う上で、何をどのように観察して情報を収集しているのか、またなぜそれを観察し判断するのか等について事例に基づいて語ってもらう。面接内容は、調査対象者に承諾を得てICレコーダーに録音し、逐語録を作成する。面接場所はプライバシーが保てる個室で実施し、面接時間は1時間程度とする。 3)データ分析:質的帰納的分析を行い、質的研究者にスーパーバイズを受けながら進める。面接調査の結果から、看護師が共通認識するための健康管理のためのアセスメントプロセスの体系化を図る。2.非参与型観察方法1)研究参加者:特養に依頼し、看護管理者から優れた看護実践を行っていると評価されている熟練看護師3名。 2)調査内容:早期発見や予防など、高齢者の健康管理において熟練看護師が日勤帯で行っているケアを記録して、熟練看護師の観察内容や判断のプロセスをフィールドワークを通して明らかにする。勤務終了後に、ケアや判断の根拠等を聞き取り、ケアに至るまでの思考プロセスを確認する。3.アセスメント指標の作成と確認:面接調査と非参与型観察の結果から、重症化予防に向けたアセスメント指標の試案を作成する。面接調査の研究参加者の看護師に、アセスメント指標の内容をフィードバックし、アセスメント指標の内容の確認を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
・面接調査を行うため、ICレコーダーの機器の購入が必要となる。ICレコーダーは使用前に動作確認を行うが、不測の事態に備えて2台用いて録音する。・ICレコーダーを使用しての面接調査内容のデータ化については、業者に委託して逐語録を作成するため、テープ起こしのための費用が必要となる。・特養を調査対象施設とするため、現地に行く旅費が必要である。・研究協力施設に対しての謝金と、研究対象者に対しての謝品が必要である。・データを分析する上でデータの整合性を高めるために、質的研究の専門家に指導・助言が必要であるため、専門的知識・提供を受けるための謝金と旅費が必要である。
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