本研究は、介護老人福祉施設(以下、特養)において、特に体調が不安定となる看取りに焦点を当て、熟練看護師が実践しているアセスメントを明らかにし、高齢者の異常の早期発見、重症化予防に資する健康管理のためのアセスメント指標を開発することを目的とした。 そこで、特養の看取りの実践について文献検討を行い、その実態や研究の動向を把握、検討した結果、特養の看取りにおいて、高齢者の健康状態を管理するためには、看護職だけでなく介護職との連携が必須であることが浮き彫りとなった。そのため、まずは看護職と介護職の連携の実態を把握することが必要であると考え、フォーカスグループインタビューを実施した。対象は、なじみの職員が一人ひとりゆとりを持ってケアにあたることができ、さらに個室が確保されていることから家族との濃密な時間が保障されることなど、看取りを行う上で有効であることが示されているユニット型特別養護老人ホーム(以下ユニット型特養)の看護職と介護職を対象とした。 その結果、ユニット型特養の体制は、数人の介護職が決まったユニットを担当し、そのユニットのリーダーである介護職が配置されていた。看護職も担当ユニットが決まっているため、看護職は日頃からユニットの介護職から報告や相談を受け、医療的側面から助言するなどしていた。そして入所者のケア方針の検討については、看護職は介護職であるユニットリーダーと相談し、その内容をユニット間で伝達するという体制をとっていた。 さらに、看護職への個別面接調査を実施した結果、看取りにおいて特養の看護職のアセスメントは、「異常の早期発見のためのアセスメント」、「ケアに関するアセスメント」、「特養で看取れるかどうかのアセスメント」、「最期を迎えるためのアセスメント」の4つから構成されていることが明らかとなった。
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