研究課題/領域番号 |
23830004
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 美保子 北海道大学, スラブ研究センター, GCOE共同研究員 (70612018)
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キーワード | ロシア外交 / 中口関係 / アジア・太平洋地域 / 多国間主義 / 地域制度 |
研究概要 |
平成23年度は、プーチン政権からメドヴェージェフ政権までの期間に、ロシアのアジア・太平洋政策に生じた変化の性質について英語で論文を執筆し、報告者が組織したワークショップにおいて発表した。この論文は、ロシアの対中国政策に見られるバンドワゴンと中国中心主義からの脱却という要素のうち、後者がどのように展開されるのかという点を中心に考察したものである。特に、アジア・太平洋の地域制度や貿易自由化の波をロシアがどのように取り入れるのかという点に焦点をあてた。2月に開催されたワークショップでは、事例としてAPECを取り上げたため、ロシアの地域制度の利用の目的はナショナリスティックな目的に基づいたものであり、まだ協力を通じて地域諸国との関係を強化する段階にないのではないかという指摘を受けた。しかしロシア外交における「自立したアジア外交」という発想はまだ年月を経ていないものであり、発展段階にある。本研究ではAPECだけでなく、朝鮮半島政策や東南アジア政策の事例を通じてこの点をより明らかにする予定である。その準備として、2月24日から3月8日までモスクワ国際関係大学に滞在し、同大学に拠点を置くASEANセンターで研究者への聞き取りと資料収集を行った。この出張では、当初の目的であったASEAN、APEC政策に関わる聞き取りだけでなく、新政権に何を期待しているのかという点についてアジア研究者の意見を聞く貴重な機会となった。この現地調査の結果、モスクワの主要な中国・ASEAN研究者の間では、関係が進展しない日本や、核開発問題を抱える朝鮮半島との経済協力への関心がやや薄れ、アジア・太平洋地域への政治・経済統合は中国や東南アジア諸国との関係を通じて達成されるべきだという考えが強まっていることを感じた。この調査結果を踏まえ、現在論文の投稿にむけて修正作業を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度行った研究報告および現地調査からは多くの新しい視点・資料を得られ、非常に実り多いものだったと確信している。しかし報告者の予想を超えて、モスクワのアジア研究者たちのAPEC政策、対日政策に関する見解が現実的かつ悲観的なものであったため、想定していた研究の方向を若干軌道修正する必要があると感じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はロシアのアジア・太平洋政策を中国との関係を中心に論じることを目的としている。この基本方針に変わりはないが、上述したようにアジア政策における日本の位置付けの変化や、ASEAN諸国との関係強化という要因がロシアのアジア・太平洋政策全体にもたらす影響についてより注意を払う必要性を感じている。
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