研究課題/領域番号 |
23H00485
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 健嗣 筑波大学, システム情報系, 教授 (30350474)
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研究分担者 |
羽田 康司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80317700)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 装着型ロボット / 生体医工学 / リハビリテーション医学 / 人間拡張技術 / 異所的連動性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,これまで申請者らが探索的に明らかにしてきた「異所的連動性」という独創的な方法論に基づき,人々の残存機能や,本来有する能力を引き出す身体変容ロボティクス分野を創成することを目指す.ここでは、異所的な連動性を有する動作支援とリハビリテーション医学応用に関する研究を前提として,人間情報学的な人の理解を目指した動作支援に伴う運動主体感に関する体系的研究を行っている. 身体変容ロボティクス技術(テーマ1)においては,体幹連動性,上下肢連動性,両側上肢連動性に関する基礎研究が大きく進展した.特に,新たに複数の受動機構による異所的連動動作機構を実現し,左右の足指動作・頸部の剛性を変化させるロボットにより頭部安定性を向上させる機器の試作機を完成させた.リハビリテーション臨床研究・実証研究(テーマ2)では,特に整形外科疾患者,脳卒中者・高齢者,顔面神経麻痺患者に対する研究が大きく進展し,実証実験を行う準備が確実に進んでいる.一方,身体所有感と運動主体感に関する基礎研究(テーマ3)については,脳機能マッピングに関する研究が進展し,運動時の認知機能や主体性の役割について明らかにする成果が得られており,現在雑誌論文を執筆中である. このように初年度は,主に身体能力に機能障害のある者・身体能力が衰えた高齢者等の残存機能を最大活用する機能再生・生活支援のための機器についての研究を行った.さらに,操作者自身の身体能力の向上という身体変容ロボティクスを支える本質的な問いに対し,問題を解くための手順を定式化する数理的なアルゴリズムを規範とする工学的な理解について貢献する成果が得られたものと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画通りに進展しているため.身体変容ロボティクス技術(テーマ1)に関する研究では,劣駆動を支援する直列型空圧アクチュエータの実現,柔軟物の可変剛性制御を利用したソフトロボット技術といった独自技術の研究開発を行った.特に,上肢運動に伴い歩行支援を実現するロボットの歩行訓練の際の歩行解析を詳細に行い,上下肢連動性に関する成果を得た.また,新たに体幹の前後運動に応じて頸部剛性を変化させる,頸部装着型可変剛性ロボットの試作機を開発し,体幹連動性の研究が進んだ.リハビリテーション臨床研究・実証研究(テーマ2)では,操作者(障害者・高齢者)の残存機能を活用した身体能力向上の臨床研究を実施する.研究分担者(羽田・医師)とともに本学附属病院にて脊損者・脳性麻痺者を対象とした臨床研究を実施した.特に,体幹に連動して立位・座位を変換する機器を活用し,その機序と適用範囲を明らかにするための研究を行った.また,生体信号処理技術の高度化と身体所有感と運動主体感に関する基礎研究(テーマ3)では,肩関節を対象とした脳機能マッピング研究を実施し,成果を得た.これは,自己の身体と一体となり動作し,自己身体の認知に重要な役割を果たす運動主体感を支えることに寄与するものである.
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今後の研究の推進方策 |
2年次の計画通りに研究を推進する.昨年度、専任で本研究に従事する研究員の人事を行い,令和6年度より従事予定である.
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