研究課題/領域番号 |
23K00144
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
樋笠 勝士 岡山県立大学, デザイン学部, 特命研究員 (10208738)
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研究分担者 |
向山 徹 岡山県立大学, デザイン学部, 教授 (00638546)
河田 智成 広島工業大学, 環境学部, 教授 (60367836)
坂田 奈々絵 清泉女子大学, 文学部, 准教授 (30795109)
畠 和宏 岡山県立大学, デザイン学部, 准教授 (00803785)
川本 悠紀子 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (70780881)
ダヴァン ディディエ 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (90783291)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 美学 / 建築工学 / 空間的感性 / 光の形而上学 / 建築史 |
研究実績の概要 |
本研究は人文系分野と工学系分野とを架橋する学際的挑戦的研究である。2023年度は研究計画1年目でもあり、①研究の全体像を相互理解するための全体会議を研究の基軸とする、②各研究チームの目的に従って分野別研究を計画する、③各人が本研究目的に沿った個人研究を進める、という階層的な研究基盤態勢を構築した。 上記の①については、第1回全体会議(2023年8月オンライン開催)においては、代表者樋笠が本研究の目的と概要、代表者と各分担者の役割、2023年度の研究目標等を説明し相互理解を深めた。また各チームの研究計画やその態勢について合議しチーム研究の目的(②)を確認した。更に本研究に関わる個人研究について分担者が目標(③)を定め、全体で確認した。第2回全体会議(2024年3月オンライン開催)においては研究代表者樋笠の研究発表(光の美学)と分担者坂田の研究発表(サンドニ大聖堂と光の美学)による理論研究について討議し理論的基盤を整えると共に、チーム研究及び各個人研究の成果報告や2024年度の研究計画等の相互確認も行った。 ②については、本研究の代表者樋笠が理論研究Aチームをリードする研究発表として美学会シンポジウム提題講演や「光の美学」論考発表を行った。分担者向山は建築工学領域の実証的研究Cチームをリードする閑谷学校の基礎調査に着手し調査実施計画を立てた。建築文化史Bチームは各自の研究の相互理解とチーム研究について目標を明確にした。 ③については、各自の論文や研究発表以外では、本研究に関連する下記分担者の調査研究が個人研究の一端として実施された。向山の閑谷学校調査(岡山、2023年11月)、川本の古代ローマ別荘建築調査(イタリア、ギリシャ等、2023年11月)、坂田の中世教会建築調査(イタリア、2023年9月)、畠の建築物調査(東京、石川、群馬、2023年6月、2024年2月)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年の研究計画の初年度計画としては、分野横断的な学際的研究の研究基盤をつくることを第一としており、このため建築工学系研究と人文系研究との方法的な相互理解と本研究の目的の理解とを研究基軸として目指した。これは2回の全体会議にてほぼ達成されたと考えられる。また本研究は、その学際的性質上、研究理念が各チーム研究や個々の研究をリードする形をとるため、チーム活動としてはAチームが全体をリードすることになる。これも計画通り2回の全体会議とAチームにも属す研究代表者の学会研究発表及びAチーム分担者の研究発表とで実現させることができ、本研究の目的や全体像についての相互理解は安定したものとなった。また当初計画していた閑谷学校の現地調査については、分担者向山による閑谷学校現地調査(御納所裏手、火除山、学房西における盛り土切土部分の石積みの写真測量による調査。2023年11月)を実施できたが更なる調査に関しては、現地調査の経費を次年度に繰り越して調査実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目となる2024年度は、理論研究Aチームは、理論的支柱を確固たるものとするために、また本研究全体をリードする中心的な役割を持続させるためにチームとして更なる研究発表等を重ねる予定である。とりわけ研究代表者樋笠は「光の美学」について特化させた研究発表乃至論文掲載を計画し、研究全体を活性化させる予定である。また建築文化史研究Bチームについては2024年度において建築空間論の歴史研究となるチーム研究の成果と各自の研究成果を全体会議にて発表する予定である。建築工学研究Cチームは、Aチームの「光の美学」の研究理念、Bチームの建築文化史上の具体的な空間論や照明論等について分担研究の成果を自らの研究に取りこみながら、実証的な実地調査活動に向けて計画実施を本格化させる予定である。特に、閑谷学校の現地調査については、写真調査の分析結果に従って、調査方法の研究も含めた現地調査の内実を一層具体化させ、それを実施する予定である。その他各分担者の個人研究は1年目に引き続き学会発表や調査研究等において進めることとした。 以上のすべての研究成果については、全体会義を2回程度開催して、各チームと個人とで研究報告すると共に、学際的統一を図るために、3年目に向けた計画の具体化を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度から2024年度に向けての繰越額については、①その多くは、閑谷学校の現地調査に関する経費についてである。2023年度では、分担者向山による写真撮影調査に特化したため、測量などにかかる調査活動に必要な人件費その他の調査経費等が2023年度内では見込み額以下になった。閑谷学校についての現地調査については2024年度にも実施する予定であるが、2023年度の写真撮影による調査分析の結果に応じて、2024年度の現地調査のための撮影機材費や人件費、図書関連費、IT関連費等の調査関連費が計上される予定である。②また全体会議を対面開催ではなくオンライン開催としたため、旅費や宿泊費も予定額よりも少額となった。③さらに学際的研究の促進と充実した研究の展開のために、2年目において新たな分担者乃至研究協力者の追加等も予定しており、その経費を見込んでいる。 工学系調査を含む分野横断的な学際的研究の実施においては、同様に分野横断的な事情が経費に対して影響を及ぼすがゆえに、経費の使用計画については柔軟な研究態勢を敷くことが必要と考えている。
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