本年度は、各蘇軾詩集の対応目録の作成につとめた。蘇軾詩集には詩の配列が全く異なる二系統のテキストがある。一方は編年で配列するもの、もう一方は詩題により分類配列するものである。五山の蘇軾詩抄は、後者の一本である『王状元集註分類東坡先生詩』を底本にしつつも、前者テキスト(たとえば、施元之ほか『註東坡先生詩』)をも参照している。蘇軾詩抄の注文が、中国諸注からの転引なのか、あるいは五山僧独自の注文か、これを効率的に判断するため、上述の対応目録は必須の工具である。本研究の計画段階では、本年度中に対応目録の作成を完了させるはずであった。しかし、予想外に作業がはかどらず、ようやく六割の作業を終えるにとどまった。次年度も引き続き対応目録の作成にはげみ、可及的速やかに作業を完了し、そして漢籍の受容状況の調査に入る予定である。
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