研究課題/領域番号 |
23K00471
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
山田 恭子 近畿大学, 法学部, 准教授 (30581748)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 貞一軒 / 貞一軒詩集 / 南貞一軒 / 女性 / 漢詩 / 四季 / 歳時記 |
研究実績の概要 |
『貞一軒詩集』研究 ー 19世紀の朝鮮女性漢詩人 朝鮮女性の漢詩文学の作風は時代が下るにつれて、次第に朱子学的文学観が見られ、その最も代表的な詩作が『貞一軒詩集』収録の「太極」である。南貞一軒の詩は「性情の正」として評価される一方で、四季や月令を詠んだものが多く、自然の中にも儒教的観念が投影されていることが重要な特徴と考えられる。本研究では作者の南貞一軒の四季、月令をテーマとした漢詩を中心に考察する。そのことによって、朝鮮女性の漢詩文学における朱子学の影響を示し、16世紀から19世紀にかけての朝鮮における女性の詩作の歴史的変遷を明らかにする。また四季、月令をテーマとすることで、東アジアの女性漢詩との比較や歳時記研究の理解につなげる。 東アジアの歳時記については日本・朝鮮ともに中国のものを踏襲しているが、日本では『玉燭宝典』、朝鮮では『荊楚歳時記』の影響をより受けている。日本の暦法は長らく唐代の影響をうけており、その日付も1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日など重日(節句)があるが、韓国では圧倒的に1日、15日であることが多く、これは祭祀との関連もある。また1年のうち1月15日の小正月は非常に重要で、今も正月満月の日として、行事がおこなわれたり、その日の特別料理を食べたりする。 四季の詩については、「春夏秋冬 元宵望月 、寒食遣懐、三日即事」と進めてきた。 この中で歳時記とも関連して、最も重要なのは、寒食など、今日ではあまり祝うことない行事であり、その内容はやはり儒教と関連している。読み進めるにつれて、貞一軒の漢詩からは儒教的な影響をうけてはいるが、19世紀の人というよりは20世紀近代の女性漢詩ではないかという語感がある。また歳時風俗詩や歳時風俗歌辞の関連資料にも目を通す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
韓国にて、東アジアの暦法と歳時記について発表をおこなったが、その際、休日だったため資料を閲覧できなかった。 また漢詩の解釈ももう少し進めなければならないため。
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今後の研究の推進方策 |
八日観燈、端午寓興、七夕漫吟、中元散歩、秋夕感懐、九日登高、除夕有感、祭戚叔母淑人坡平尹氏 など残りの四季に関する漢詩と姻戚の伯母とする坡平尹氏や李昌建との関係などを見ていく。また時間があれば集められなかった資料を集め内容の検討をしたい。特に以下のことは今後調べなければならないことである。 1 南永周(1788-1856.8.17) とその妻全州李氏。南九萬の5代孫、文人の南永魯(1810~1857)との関係。蝶画で有名な南啓佑との関連。族譜入手を行い調べる。 2 李建昌(1852-1898、全州李氏 号は寧齋:著書『黨議通略』『明美堂集』)とその母?坡平尹氏(?-1884)について 李建昌全集は入手したので読んでまとめる。 3 成大鎬(1839.10.21-1859.2.7)と養子の成台永(1862.5.1-1934.9.16) 成縉鎬の次男 本貫昌寧 成大鎬と養子の実父との関係 一度族譜を見たが関係が不明瞭だった。再度調査しなければならない。 4月令の資料も1種入手したので『礼記』月令篇も参照しながら、内容を把握しなければならない。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用計画などきちんと精査、考察したながら適切に行いたい。
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