研究課題/領域番号 |
23K00815
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
徳永 誓子 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (90706772)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 修験道 / 山伏 / 験競べ |
研究実績の概要 |
本研究は、(1)山伏の歴史的変遷、(2)熊野本宮長床衆の実態および熊野三山検校との関係、(3)験競べの歴史的実態および修験道との関係、の三つを課題とした。このうち当該年度は(1)(3)の二つにつき、重点的に作業を進めた。 (1)については、13・14世紀の絵画史料から山伏と思われる図像を抽出し、それらの図像を山伏として良いか否かを検討、文献史料の記述と照らし合わせて当該期絵画史料における山伏の特徴を明確にした。また図像の登場時期をもとに、実態としての山伏装束の定着は12世紀後半あたりと推測した。(3)については、11~14世紀の文献史料、および中世の絵画事例として貴重な『鳥獣人物戯画』の図像を主要な素材に用い、験競べの定着時期・当該期の形態を考察した。現時点では11世紀の定着と推測しており、また比叡山延暦寺が早い例であることに着目している。延暦寺、とりわけ根本中堂は11世紀から12世紀にかけて、巡礼の修行者が集まる地であったと見られるが、その後、修験の霊場として発展することはなかった。そのような同寺が最初期の験競べに関わっていることは、他寺社における同儀礼のあり方につながる重要な論点となる。 (1)については日本山岳修験学会例会において、(3)は佛教史学会大会において、口頭発表を行い、関連・隣接領域の参加者から、多くの批判・助言を受けた。議論を通じて新たに得た知見を組み込み、論文を公表すべく、作業を進めている。 なお関連して『論集修験道の歴史』1巻・3巻の編集を担当した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示した通り、当該年度は(1)山伏の歴史的変遷、(3)験競べの歴史的実態および修験道との関係、の二課題につき、作業が進展した。 当該年度の作業に予定していたのは、主に史料調査・収集であったが、このうち、(1)に関わる一部画像の入手・分析、(2)に関わる文献の検証、は、次年度に行うこととなった。 計画に変更は生じたものの、(1)(3)については口頭発表の実施によって研究の進展が促進され、全体として見た場合、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の進捗状況、また今後の学会発表などの予定を踏まえ、以下のように作業を進める予定である。 第2年度(本年度):(1)の成果を学術論文として公表。(2)に関する文献史料の検証に着手し、それによって得た知見を踏まえて、学会で報告。 第3年度:(2)の成果を、学術論文として公表。なお、当該課題の作業に時間がかかった場合は、既に口頭発表を行った(3)の公表に向けた作業を先に進める。 第4年度:(3)の成果を、学術論文として公表(状況に応じて、公表順を変更することは上記の通り)。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画の変更に伴い、史資料整理業務が後回しになり、人件費を用いなかったことが理由である。作業の進展状況を勘案して、次年度の人件費にあてる予定である。
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